「日本版DBS制度」導入の背景〜学習塾に求められる対応は?〜

「日本版DBS制度」導入の背景〜学習塾に求められる対応は?〜

皆さん、こんにちは!塾エイド事務局です。

今回は、塾業界内でも非常に注目度の高い「日本版DBS制度」について解説します。

ニュース等で話題となり、ご覧になられた方も多いと思いますが、2024年6月19日の参議院本会議で「日本版DBS制度」の導入を踏まえた「こども性暴力防止法案」の採決が行われ、全会一致で可決・成立しました。

「日本版DBS制度」とは、学校や保育所等、子供と接する仕事に就く人に犯罪歴がないかを調べることができる制度であり、学習塾は任意の認定制度となっています。

生徒を守る立場にある我々学習塾にとって、本制度を理解することは大変重要であると言えます。また、理解が深まることで、大切なお子さんを預けていただいている保護者の方々への安心にも繋がり、塾への信頼性も高まるでしょう。

そこで今回は、「日本版DBS制度」導入の背景や仕組み、学習塾に求められる対応を解説をしていきます。

ぜひ最後までお付き合いください。

また、2024年7月2日に「日本版DBS制度」をテーマとしたセミナーを開催します!

全国学習塾協会をお招きし、「日本版DBS制度」について1から詳しく解説していただきますので、より広く深く知りたいという方はこちらもご参加ください。

ご参加は無料ですので、ぜひお申し込みください。

お申込みフォームはこちら

塾業界の今後を左右する「日本版DBS制度」とは

「こども性暴力防止法案」の成立~柱となる「日本版DBS制度」~

学校、保育園、学習塾… 本来であれば、子供の安全が守られるべき場所で性犯罪の被害に遭う事例が、残念ながら後を絶ちません。令和4年度における「文部科学省 公立学校教職員の人事行政状況調査」によると、公立学校では、懲戒免職を受けた4572名の教育職員のうち、性犯罪・性暴力等により懲戒免職を受けた者が242名、うち、児童・生徒への性暴力等で懲戒免職を受けた者が119名であることが報告されています。

子供に対する性暴力は、教員や保育士といった支配的な立場にある大人によって行われた場合、第3者が被害に気付くことが難しい為、継続して暴力を受ける恐れがあります。

このような、子供と接する立場を利用した卑劣な性犯罪から子供たちを守るための対策として、2023年に新設された「こども家庭庁」は、国会での「こども性暴力防止法案」の成立を目指してきました。そして、2024年6月19日の参議院本会議で可決・成立され、2026年の施行に向けて事業者向けのガイドライン策定等に動き出しています。

この法案の柱となるのが、イギリスのDBS(=前歴開示・前歴者就業制限機構)制度を参考に構築された「日本版DBS制度」です。

本制度は、子供と接する仕事に就く者に性犯罪歴がないかを調べることができる制度であり、事業者がこども家庭庁を通して法務省に照会することができます。

法律で認定されている学校、幼稚園、保育所、児童養護施設、放課後等デイサービス等に義務付けられ、雇用者に対して性犯罪歴の有無を必ず確認しなければなりません。

一方で、学習塾、放課後児童クラブ、スポーツクラブ、認可外保育所等は、任意の認定制度であり、国に申請して認定を受けることで対象となります。現段階では、ベビーシッター、家庭教師、個人経営塾等の個人事業主は対象外ですが、対象に含めることについて、政府に検討を求める付帯決議も可決されています。

また、子供や保護者の訴えにより、事業者が「性暴力の恐れがある」と判断した場合は、性犯罪歴のない者でも、配置転換等の「防止措置」をとることが義務付けられます。

日本版DBS制度導入の背景

子供の性被害防止における大きな第一歩とも言える「日本版DBS制度」ですが、導入されるにあたり、一体どのような背景があったのでしょうか?

①小児わいせつにおける再犯率の高さ

「日本版DBS制度」導入のきっかけとなったのが、2020年に起きたベビーシッターによる連続強制わいせつ事件です。この事件を機に、制度導入への議論が活発化しました。

性犯罪の中でも、特に「小児わいせつ」は再犯率が高いと言われています。法務省の法務総合研究所の調査によると、裁判確定から5年以内の再犯率は、性犯罪(刑法違反)の中で最も高い9.5%です。また、小児わいせつを犯した者のうち、84.6%が性犯罪前科2回以上であることが報告されています。その常習性と再犯リスクの高さから、小児わいせつの再犯防止が非常に重要であることが指摘されてきました。

②”教育現場”と”保育現場” 管轄の違いによる問題

現在、日本の行政システムにおいて典型となっているのが、縦割り行政です。子供に関しても、幼稚園・小学校・中学校・高校等の教育現場は「文部科学省」、保育所等の保育現場は「厚生労働省」(現在は「こども家庭庁」)と、それぞれ管轄が分かれています。各省庁が専門性を持つというメリットはありますが、各省庁が独自の方針で業務を行い、他の省庁との連携も少ない為、「情報共有がされない」、「業務が重複する」といった問題点もあります。

例えば、教育現場で児童に対するわいせつ行為により懲戒免職になった場合でも、管轄外である保育園、法定資格を要しない学習塾、放課後児童クラブ等での再就職が可能であり、性犯罪を犯した者でも、新たに子供と接する仕事に就くことができるのです。

③子供の性犯罪防止における、現行の法律・制度の限界

教育現場で働く教員には「教育職員免許法」に基づく教員免許、保育現場で働く保育士には「児童福祉法」に基づく国家資格(保育士登録)が必要です。しかし、性犯罪等の犯罪を犯した場合、免許状の失効、保育士登録の取消が行われます。

「教育職員免許法」では、禁錮刑以上であれば欠格期間は無制限ですが、それ以外は免許状失効日から3年経てば、再免許取得が可能です。但し、わいせつ行為で免許を取り下げられた場合は、特定免許失効者とみなされ、都道府県教育委員会や再授与審査会の審議にかけられます。

また、保育士登録も同様に「児童福祉法」では、禁錮刑以上であれば欠格期間は無制限ですが、それ以外は登録取消日から3年経てば、再登録が可能です。どちらも本人の更生状況等によっては認められない事例もありますが、再免許授与や再登録が適当であると判断された場合は、性犯罪を犯した者でも、法律上では教育・保育の現場に復帰できる可能性があります。

以上のことがかねてより問題視されており、子供の性犯罪防止に関して、より実効性のある制度を必要とする声が多く挙がっていました。そして、今回、こども性暴力防止法案が成立したことにより、日本版DBS制度が実現されることになったのです。

日本版DBS制度の仕組み

日本版DBS制度の照会対象となる範囲や犯罪は?

本制度において、性犯罪歴有無の確認対象となるのは、新規の求職者および現職者です。性犯罪歴があった場合は、子供と直接関することのない部署への配置転換等の対応が求められます。最終手段として、解雇も認められるとのことです。

また、照会の対象となる性犯罪は、不同意わいせつ罪等の「刑法違反」に加え、盗撮・痴漢等の「条例違反」も含まれており、これらは「特定性犯罪前科」として定められています。更に今後、ストーカー行為や下着窃盗等も特定性犯罪前科に含めることについて、政府に検討を求める付帯決議も可決されました。但し、不起訴事案や行政処分は対象外です。犯罪歴を照会できる期間は、禁錮刑以上は刑の終了後20年、執行猶予がついた場合は裁判確定日から10年、罰金以下は刑の終了後10年となっています。

学習塾は任意の「認定制度」 認定を受けると広告等での表示が可能に!

学習塾をはじめ、放課後児童クラブ、スポーツクラブ、認可外保育所、障害児の居宅介護事業等の民間事業においては、国の認証を受けることによって参加できる任意の「認定制度」です。

研修や相談体制の整備等、国が定めた条件をクリアした場合のみ認定を受けることができ、本制度の対象事業者となります。そして、学校や保育所等と同様に、雇用者に対して性犯罪歴の照会義務が課されます。但し、認定制度の場合は、義務化された事業者とは異なり、照会にあたって手数料がかかるとされています。

認定を受けた事業者は国が公表し、広告等で認定を受けたことの表示が可能となる為、学習塾に通う生徒や保護者の方々の安心と、塾への信頼にも繋がるでしょう。

犯罪歴の照会手順

では、実際に雇用等で犯罪歴を照会するとなった場合、どのような手順で行うのでしょうか?

まず、事業者(学校・保育所・学習塾等)は、こども家庭庁に「性犯罪歴の照会」を申請します。その際、照会する本人(教師・保育士等)は、こども家庭庁に戸籍を提出する必要があります。この申請を受けたこども家庭庁は、法務省に性犯罪の有無を確認し、「犯罪歴なし」と確認された場合は、「犯罪事実確認書」が事業者に交付されるとのことです。

一方で、「犯罪歴あり」と確認された場合は、こども家庭庁から照会した本人に事前通知があり、2週間以内であれば、通知内容の訂正請求ができます。また、結果を受けて内定辞退や退職をした際は、照会の申請が取り下げられる為、性犯罪歴があることは事業者に伝わりません。

しかし、訂正請求が行われずに2週間が経過した場合は、「犯罪歴あり」という内容の犯罪事実確認書が事業者に交付され、決められた期間内は子供と接する業務に就けなくなります。

現職の者に対する配置転換等、必要な措置を講じる為に「いつ、どのような罪を犯したか」、「裁判での判決内容」等の詳細も、事業者に通知される予定です。

 

先行する海外の事例

「日本版DBS制度」のモデルとなったイギリスのDBS制度では、18歳未満の子供に1日2時間以上接する職種で働く場合、DBS(Disclosure and Barring Service)から発行された「犯罪証明書」が必要です。教育水準局に犯罪証明書を提出して、初めて就労が可能になり、教員以外にも配達員、警備員、手術医等、子供と直接関わる可能性のある様々な職種に義務付けられています。また、子供だけではなく、18歳以上で心身面で介助が必要な者、施設入所者、高齢者に接する仕事に就く場合も同様です。

DBSは、年間700万以上もの犯罪証明書を発行しており、就業を制限された約8万人のリストを管理しています。犯罪歴・裁判事案のみならず、子供に対する不適切な行動等、警察が対象者に関して持つ情報も記録されており、日本と比べてより厳格に踏み込んだ制度です。

イギリス以外にも、ドイツ、フランス、オーストラリア、ニュージーランド、スウェーデン等にも同様の制度があります。

学習塾に求められる今後の対応とは

これまで「日本版DBS制度」の概要をご紹介しましたが、今後、学習塾にはどのような対応が求められるでしょうか?

制度を正しく理解し適切に運用することで、生徒を性被害から守る

我々学習塾に出来る対応として、まずは制度の内容を十分に理解し、適切に運用していくことが大切になります。

「具体的にどのような対応を行えばよいのか?」については、今後、こども家庭庁により策定される「事業者向けのガイドライン」に示される予定です。現段階では、初犯に対する防止措置(職員の研修等)、性犯罪歴照会の申請方法、照会した性犯罪歴の漏洩防止等の情報管理といった内容が考えられています。

適切に情報を管理する体制の整備が必要

犯罪歴の照会は、性犯罪を未然に防ぎ、子供たちを守る為に必要不可欠ですが、一方で、不当な差別にも繋がる可能性のある重大な個人情報です。これにより、日本版DBS制度に参加する事業者全員に「情報を適正に管理する義務」が課され、情報漏洩があった場合は、事業者に罰則が設けられます。情報閲覧のアクセス制限やパスワードの強化等、情報管理の厳格化が求められ、適切に情報を管理する体制の整備も必要です。

性暴力は「魂の殺人」とも言われ、子供が性犯罪の被害に遭うことは、心身だけでなく、その後の人生にも大きな影響を及ぼします。今回の制度化によって、子供の性犯罪防止へ前進したと言えるのではないでしょうか?

塾業界全体で本制度への理解を深め、生徒にとって安全で健全な学習環境を確保することで、性被害から子供たちを守っていきましょう!

塾エイドでは、かねてより学習塾における「日本版DBS制度」の普及活動を精力的にされている全国学習塾協会をお招きし、制度の概要や今後の展望、協会が発布しているガイドライン等、制度を更に深く理解する為に役立つ内容が盛りだくさんのセミナーを開催いたします!

参加費は無料ですので、是非この機会にお申し込みください。

【参加無料/WEBセミナー概要】

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全国学習塾協会が登壇!

 ~日本版DBS制度の今後と協会のガイドラインについて~

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日時 :2024年7月2日(火) 13:00-14:00

会場 :オンライン開催(ZOOM)

参加費:無料

お申込みフォームはこちら

★参加後、アンケート回答で特典あり★

セミナー資料をプレゼント!!

【WEBセミナー詳細】

◆こんな内容をお伝えします!

□ 「日本版DBS制度」導入の背景と意義

□ 学習塾業界にとってなぜ重要なのか?

□ 今後、学習塾に求められることは?

□ 具体的に学習塾がすべき対応は?

□ その他、学習塾が留意すべき危機管理について 等

【講師紹介】

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冒頭挨拶:公益社団法人全国学習塾協会 会長 安藤大作氏

セミナー:公益社団法人全国学習塾協会 事務局長 中村紘二郎氏

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【協会概要】

公益社団法人全国学習塾協会は、民間教育を担う団体・個人に関する支援及び能力開発、調査研究、地域社会に対する貢献の推進等を行うことによって児童及び青少年等の学力養成の推進に寄与し、より良い社会の形成を推進することを目的として設立。

会員数は最大で、学習塾業界唯一の公益法人です。業界唯一の公益法人として、国や行政省庁との窓口を担っています。健全な事業活動を支えるために絶えず情報発信を行っています。

おわりに

いかがだったでしょうか?

今回は「日本版DBS制度」についてご紹介しました。

本記事が少しでもお役に立てば幸いです!

引き続き塾エイドでは、学習塾を経営されている方や講師・生徒の皆さまへのお役立ち記事を発信してまいります。今後ともどうぞよろしくお願いいたします!

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2024/6/24更新