法人税の計算方法と節税対策6選を紹介!塾経営者のための法人税対策【後編】

みなさんこんにちは!塾エイド事務局です。
塾エイドでは、塾の経営を法人として行っている方に向けて、6つの節税対策をシリーズでお伝えしています。
前編では、法人税の計算方法と節税のポイント、具体的な節税対策を3つとして①役員報酬、②少額減価償却資産、③法人保険の加入をご紹介しました。
今回は④中小企業倒産防止共済、⑤交際費・貸倒引当金・社宅、⑥所得拡大促進税制を解説していきます。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
対策④中小企業倒産防止共済に加入
継続して1年以上事業を行っていると、中小企業倒産防止共済(セーフティ共済)と呼ばれる制度に加入できます。
中小企業倒産防止共済への加入でも節税ができるので、詳しくご紹介していきます。
■中小企業倒産防止共済とは?
中小企業倒産防止共済は、取引先が倒産した際に連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。
取引先が倒産して売掛金の回収が困難になったときに、担保・保証人なしで借入れができます。
運営しているのは、独立行政法人中小企業基盤整備機構です。
掛金は全額損金に算入できるため、節税の効果があります。
掛金は月5,000円〜20万円の範囲で設定でき、掛金の変更も自由です。
塾を経営しているとき、資本金が5,000万円以下で常時使用する従業員数が100人以下の場合、加入できます。
参照:中小企業基盤整備機構 https://www.smrj.go.jp/kyosai/tkyosai/
■加入方法
中小企業倒産防止共済は、中小企業基盤整備機構と業務委託契約を結んでいる団体または金融機関の窓口で加入できます。
加入に際しては、以下の書類が必要です。
- 契約申込書
- 掛金預金口座振替申出書
- 重要事項確認書兼反社会的勢力の排除に関する同意書
- 商業登記簿謄本または登記事項証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
- 法人税の確定申告書(税務署の受付印があるもの)
- 法人税の納税証明書
契約申込書・掛金預金口座振替申出書・重要事項確認書兼反社会的勢力の排除に関する同意書の3点は加入窓口にあるので、他の3つの書類を準備して手続きを行ってください。
■中小企業倒産防止共済の注意点
中小企業倒産防止共済を解約すると解約手当金が戻ってきますが、加入後12ヶ月未満だと掛金は掛け捨てになります。
掛金を12ヶ月以上払っていても、40ヶ月未満だと解約手当金は払込んだ掛金よりも少なくなってしまいます。
加入後にキャッシュフローが苦しくなったときは、掛金の減額や一時的に払込みを停止する「掛止め」をして、40ヶ月以上掛金を払えるようにしましょう。
さらに、取引先が倒産して借入をすると、その1/10の額が掛金総額から差し引かれることも注意事項です。
例えば、1000万円の借り入れをすると100万円の掛金払込みがなかったことになり、実質10%の利息がかかっているのと同じになります。
取引先が倒産した場合、中小企業倒産防止共済を利用して借入をするのかどうかは、しっかりと見極めたいですね。
対策⑤その他損金に算入して節税できるもの
ほかにも、損金として計上することで節税ができるものがあり、以下の3つについて詳細を解説します。
- 交際費
- 貸倒引当金
- 社宅
■交際費を計上する
交際費とは、法人の経営をスムーズにするために行なわれる、取引先との付き合いや交渉のための経費のことです。
交際費と定義されるものは幅広く、取引先の接待や慰安、供応、贈答などのほか、社内接待の費用も含まれます。
交際費として損金算入できる限度額は法律で決められており、以下の表のようになっています。
| 会社の規模 | 交際費の限度額 |
| 期末資本金100億円超 | 損金算入なし |
| 期末資本金1億円超100億円以下 | 接待飲食費の50% |
| 期末資本金1億円以下 | 年間800万円または接待飲食費の50%のどちらか |
接待飲食費とは、一人あたり5,000円を超える飲食代のことです。
期末資本金1億円以下の中小企業者の場合、接待飲食費が年間1,600万円以上にならなければ、800万円までというかなり大きな額が交際費として損金計上できます。
ただし、交際費のうち接待飲食費を計上する場合には、以下の事項を記載した書類を保存しておかなければなりません。
- 飲食をした年月日
- 飲食をした取引先の名称・氏名とその関係
- 飲食に参加した人数
- 飲食に要した金額
- 飲食店等の名称・所在地
取引先を交えて飲食等をした際は、上記の必要事項を領収証にメモするなどして保管しておきましょう。
■貸倒引当金を計上する
貸倒引当金とは、貸倒れによるリスクに備え、貸倒損失になるかもしれない金額をあらかじめ計上した引当金です。
売掛金、貸付金、未収金、受取手形などの金銭債権から、相手先からの借入額などを差し引き、0.6%を貸倒引当金として損金算入できます。(中小企業者で法定繰入率を使用する場合)
実際にお金が出ていなくても算入できる損金のため、節税効果が高いといえます。
ただし、計上した貸倒引当金は翌期には収入として扱われるため、2年目以降は1年目ほど節税にはならない点に注意が必要です。
■塾経営者の自宅家賃を社宅として計上する
法人が住宅を借りて経営者などに社宅として貸した場合、損金算入することができます。
社宅を利用するには、まず法人名義で住宅を借り、支払った賃料を経費計上します。
個人名義での契約では社宅として損金算入することはできませんので、必ず法人名義で契約してください。
そして、住宅に住む経営者などから社宅の賃料を受け取ります。
会社が支払った賃料と入居者から受け取った賃料の差額を、会社の損金とすることが可能です。
社宅に入居する側として、家賃の負担が少なくなり、その分給与を下げたとしても所得税・住民税・社会保険料が減り手取り収入が増えるメリットがあります。
ただし、社宅としての賃料が相当額とみなされないと、相場との差が入居者への給与とみなされることがあるので、注意しましょう。
賃料が相当額かどうかは、社宅が小規模かそうでないかで変わり、小規模でなくても会社が支払う賃料の50%を徴収していれば相当額として損金算入できます。また、役員の場合は規定が異なります。詳細な計算方法や規定については以下を参照ください。
参照:国税庁
(使用人に貸与する場合) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2597.htm
(役員に貸与する場合)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2600.htm
対策⑥所得拡大促進税制を利用
法人税の節税対策には、課税対象の所得を減らす他に税額控除を行う方法もあります。
税額控除とは、算出された税額から一定の金額を差し引くことです。
二重課税を避ける目的で設けられているものや、国が推進する重点政策に対して条件をクリアしたときに適用されるものがあります。
本来支払うべき税金から差し引いてくれるため、節税効果が高くなります。
税額控除のひとつ、所得拡大促進税制を見ていきましょう。
■所得拡大促進税制とは
所得拡大促進税制とは、中小企業者が前年度よりも従業員に対する給与の支給額を増額した場合、一定の要件を満たせば適用することができる税額控除の制度です。
名称が新しくなり、賃上げ促進税制と呼ばれるようになっています。
制度の内容は年々変わっていますが、2023年10月時点においては以下のような内容になっています。
<適用要件>
①(雇用者給与等支給額-比較雇用者給与等支給額)/比較雇用者給与等支給額≧1.5%
②(雇用者給与等支給額-比較雇用者給与等支給額)/比較雇用者給与等支給額≧2.5%
③(教育訓練費の額-比較教育訓練費の額)/比較教育訓練費の額≧10%
<税額控除率>
| 適用要件 | 税額控除率 |
| 要件①を満たす場合 | 控除対象雇用者給与等支給増加額×15% |
| 要件②を満たす場合 | 控除対象雇用者給与等支給増加額×30% |
| 要件③を満たす場合 | 控除対象雇用者給与等支給増加額×25% |
| 要件②③を満たす場合 | 控除対象雇用者給与等支給増加額×40% |
参照:国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5927-2.htm
■所得拡大促進税制を利用する際の注意点
所得拡大促進税制は特別措置法が適用された時限立法のため、期限があります。
所得拡大促進税制の期限は令和6年3月31日までの間に開始する各事業年度です。(2023年10月時点)
また、申告後に適用できることに気が付いた場合でも、修正ができません。
当初の申告時に、所得拡大促進税制の適用漏れがないように注意しましょう。
法人の節税対策でどれくらい税金を減らすことができるか
これまで以下の6つの節税対策を紹介してきました。
①塾経営者の役員報酬を設定
②塾の消耗品を少額減価償却資産として損金計上
③塾経営者の保険を法人で加入
④中小企業倒産防止共済
⑤交際費・貸倒引当金・社宅を損金で計上
⑥所得拡大促進税制を利用
①〜⑤で損金算入をした場合、節税できる額としては
・所得が800万円以下であれば、損金算入した額の15%
・所得800万円超の場合、損金算入した額の23.2%
納める税金を減らせます。
所得額と節税額をまとめると、以下の表のとおりです。
| 所得額 | 節税額 |
| 800万円以下 | 損金算入額の15% |
| 800万円超 | 損金算入額の23.2% |
対策⑥の場合、計算された額がダイレクトに法人税額から差し引かれるため、節税効果が大きくなります。
適用要件によって給与支給増加額の15%、25%、30%、40%が節税できます。
まとめ
前編から2記事に分けて、塾を法人で経営する際の節税対策を6つ紹介してきました。
損金算入して所得を減らす5つの対策では、ひとつひとつを確実に損金算入できるようにしていきましょう。
また、今回紹介した所得拡大促進税制の税額控除には期限があるため、税額控除の利用を考える際には早めに取り組むことをおすすめします。
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2023/10/23更新


