法人税の計算方法と節税対策6選を紹介!塾経営者のための法人税対策【前編】

法人税の計算方法と節税対策6選を紹介!塾経営者のための法人税対策【前編】

みなさんこんにちは!塾エイド事務局です。

学習塾を開業し、経営が軌道に乗ってきたタイミングなどで、「塾経営をしている法人は、どのような税金を払うの?」「節税対策をして、少しでも会社にお金を残したい」といった、節税に関する疑問や思いが出てくるのではないでしょうか。

本記事では、塾の法人経営者なら知っておきたい6つの節税対策を前後編でご紹介します。

今回の前編では、法人で塾を経営している人が納める法人税と税額の計算方法と、具体的な節税対策3つを解説いたしますので、ぜひ最後までご覧ください。

塾経営で納める法人税

まずは法人税について解説していきます。法人税とは、法人の事業活動で得た所得にかかる税金のことで、国税です。

法人所得税と呼ばれることもあります。

①国税である法人税と、②地方税である法人住民税、③法人事業税を合わせて、法人税等と呼ぶことが一般的です。

法人の規模や種類によって異なりますが、法人税の税率は一定の値となっており、以下の表の通りです。

例えば、資本金1億円以下の普通法人であれば、所得が年800万円以下で15%、800万円を超える部分で23.2%と決められています。

区分適用関係(開始事業年度)
平28.4.1以後平30.4.1以後平31.4.1以後令4.4.1以後
普通
法人
資本金1億円以下の法人など(注1)年800万円以下の部分下記以外の法人15%15%15%15%
適用除外事業者(注2)19%(注3)19%(注3)
年800万円超の部分23.40%23.20%23.20%23.20%
上記以外の普通法人23.40%23.20%23.20%23.20%

出典:国税庁https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5759.htm

所得や税額は塾の法人設立の際に定めた事業年度ごとに計算し、事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内に申告をする必要があります。

法人税の計算方法と節税対策のポイント

法人税の計算方法と節税対策のポイントからご紹介します。

■法人税の計算方法

法人税額は、所得(※)に法人税率を掛けると求められます。

※法人の所得とは、益金(税法上の収益)から損金を差し引いたものです

益金(利益)と損金の考え方

会計上の利益は収入から費用を引いたものですが、法人税法上では、会計上の収入や費用に調整をかける必要があります。

会計上の収入に法人税法上の調整をかけたものが益金で、費用に調整をかけたものが損金です。

例えば、益金から損金を引いて所得1,000万円となった場合

上記表でご案内した税率に従い、800万円分に税率15%、200万円分に税率23.2%を適用して166.4万円が法人税額となります。

■節税対策のポイント

法人ができる節税対策は、大きく分けて以下の3つに分類されます。

  • 益金を減らして所得を減らす
  • 損金を増やして所得を減らす
  • 税額控除を利用し税額を減らす

ただし、所得を減らすために益金を減らすなど、入ってくるお金が減ったり出ていくお金が増えたりすると手元にあるお金は増えません。

重要なのは手元の資金を減らさず対策を行っていくことではないでしょうか。

そのためには、必要な支払いを確実に損金計上していくことが重要です。

塾経営者ができる法人税の節税対策6選

ここから、塾の法人経営者の節税対策として、以下の6つをご紹介していきます。

①塾経営者の役員報酬を設定

②塾の消耗品を少額減価償却資産として損金計上

③塾経営者の保険を法人で加入

④中小企業倒産防止共済

⑤交際費・貸倒引当金・社宅を損金で計上

⑥所得拡大促進税制を利用

今回は、①〜③についてひとつひとつ解説していきます。

なお、後編では④〜⑥を解説します。

対策①塾経営者の役員報酬を設定

法人の役員に対して支給される報酬を役員報酬といいます。

役員とは、取締役のほか、執行役や会計参与、監査役などの役職のことを指します。

大きい規模で塾を経営していると、ご自身以外の役員がいらっしゃる場合があるのではないでしょうか。

役員報酬は一部損金として計上できます。ただし、従業員への給与とは違い税務上の気をつけるべきポイントがありますので注意点を見ていきましょう。

■役員報酬の種類

役員報酬の種類には以下の3種類があります。

  • 定期同額給与
  • 事前確定届出給与
  • 業績連動給与

それぞれどのようなものか確認していきます。

・定期同額給与

定期同額給与とは、毎月同額で支払われる報酬のことです。

従業員給与のように、残業代の支給などで変動することはありません。

毎月一定の額を支給して、損金として算入していきます。

・事前確定届出給与

事前確定届出給与とは、役員に対する賞与のような位置づけになります。

法人税法上、原則として役員の賞与は損金に算入することはできませんが、事前に届け出をすることで損金として計上することができるようになります。

・業績連動給与

業績連動給与とは、業績に連動して決まる役員給与のことです。

ただし、対象は有価証券報告書を提出しているような上場企業に限られます。

中小企業者の場合、業績連動給与を使えないことに注意しましょう。

■役員報酬を計上する際の注意点

定期同額給与を変更しようとする場合、変更できる時期が決められています。

変更できるタイミングは、新しい事業年度が始まって3ヶ月以内です。

新しい事業年度が始まって4ヶ月以後に定期同額給与を変更してしまうと、一定額以上の部分は損金算入できなくなってしまいます。

そうなると、所得が増えてしまうので、定期同額給与の変更時期には注意が必要です。

定期同額給与の変更時期可能時期を図にすると、以下のようになります。

ただし、組織変更で役員の人数が変わり、それに伴って役員報酬が変動した場合は、損金に算入できます。


事前確定届出給与に関しては、新しい事業年度が始まる前に次期の支給額を届けていなければ、全額損金算入できません。

対策②塾の消耗品を少額減価償却資産として損金計上

塾の備品や消耗品を購入についても、損金計上できる場合とできない場合があります。

通常10万円以上のものを購入した場合、一括では損金にならず、資産として計上し減価償却(※)の手続きを毎期行い、損金として計上します。

ただし中小企業者は、特例で少額減価償却資産として一括損金算入できることもあるのです。

※ 固定資産の取得にかかった費用の全額をその年の費用とせず、耐用年数に応じて配分しその期に相当する金額を費用に計上すること

■少額減価償却資産

少額減価償却資産とは、取得価額10万円以上30万円未満の固定資産です。

本来であれば10万円以上のものは資産として扱われ、一括で損金にはなりませんが、中小企業者は特例として30万円未満であれば1年に300万円まで損金に算入できます。

この場合、購入したものは新品でも中古でもどちらでも構いません。

ですので、新品で高額のものでも中古で30万円未満で購入ができれば、お金が出た事業年度に一括で損金にすることができます。

例えば、通常自動車を新品で200万円で購入すると、取得価額200万円を6年かけて損金算入していきます。

しかし、中古車で30万円未満で購入できれば、その年に全額損金算入できるのです。

一度に損金算入できると、節税効果が大きいですね。

■少額減価償却資産の注意点

少額減価償却資産を計上できるのは、青色申告法人である中小企業者で、常時使用する従業員の数が500人以下の法人です。

中小企業者とは以下のような法人を指します。

  • 資本金または出資金の額が1億円以下であること
  • 連結法人でないこと
  • 大規模法人に発行済株式の総数または出資金総額の2分の1以上を所有されていないこと
  • 複数の法人に発行済株式の総数または出資金総額の3分の2以上を所有されていないこと

また、少額減価償却資産として計上できるのは、1年に300万円までです。

一括損金算入できるからといって購入しすぎてしまうと、300万円を超えた部分は損金に算入できず所得が増えてしまうので、注意してください。

加えて、少額減価償却資産は償却資産の申告対象資産となり、償却資産申告書を提出する必要があることもご注意ください。

対策③塾経営者の保険を法人で加入

法人で保険に加入することで、節税になることもあります。

■法人保険への加入で節税できる

保険料が損金になるタイプの法人保険に加入して保険料を損金として計上すると、所得が減少して支払う税金も少なくなります。

個人で保険に加入している場合、一般の生命保険で最高4万円、介護保険で最高4万円、個人年金保険で最高4万円の計12万円までしか個人の所得から控除できません。

しかし、法人で保険に加入すると、損金になる部分が全額所得から控除されます。

そのため、個人で加入している保険を法人で加入しなおすと節税になる場合があるのです。

■法人で保険に加入する際の注意点

法人で加入する保険には、損金として計上できる部分と資産として計上しなければならない部分があり、全額が損金算入できるわけではない点に注意が必要です。

損金で計上できる割合は保険によって異なりますが、解約返戻率が高いほど小さく設定されています。

そして、ある一定期間が過ぎると資産計上した部分を取り崩して経費に計上していきます。

資産計上する金額が大きい時期に保険を解約してしまうと、損金に計上している保険料が少なくなっているため、節税効果が小さくなってしまうのです。

経営者の保険加入による節税を考えるのであれば、保険料が「損金計上>資産計上」となる時期まで長い目で見る必要があります。

保険料の資産計上期間と取り崩し期間は以下の表のようになっています。

区分資産計上期間資産計上額取崩期間
最高解約返戻率50%超70%以下保険期間の開始の日から、当該保険期間の100分の40相当期間を経過する日まで当期分支払保険料の額に100分の40を乗じて計算した金額保険期間の100分の75相当期間経過後から、保険期間の終了の日まで
最高解約返戻率70%超85%以下当期分支払保険料の額に100分の60を乗じて計算した金額
最高解約返戻率85%超保険期間の開始の日から、最高解約返戻率となる期間(当該期間経過後の各期間において、その期間における解約返戻金相当額からその直前の期間における解約返戻金相当額を控除した金額を年換算保険料相当額で除した割合が100分の70を超える期間がある場合には、その超えることとなる期間)の終了の日まで当期分支払保険料の額に最高解約返戻率の100分の70(保険期間の開始の日から、10年を経過する日までは、100分の90)を乗じて計算した金額解約返戻金相当額が最も高い金額となる期間(資産計上期間がこの表の資産計上期間の欄に掲げる(注)に該当する場合には、当該(注)による資産計上期間)経過後から、保険期間の終了の日まで

出典:国税庁https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_03.htm

まとめ

塾を法人で経営しているときに支払う法人税は、支払いを確実に損金計上することで所得が小さくなり、節税につながります。

今回は役員報酬、少額減価償却資産、保険料を損金に算入する方法を紹介しました。

それぞれに注意点があるため、損金不算入にならないように気を付けていきましょう。

後編も、法人で塾を経営する場合に役立つ節税方法を紹介していきますのでぜひご覧ください。

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2023/10/8更新