2023年2月開催「学習塾のインボイス制度に向けて備えるべきこと」ミニセミナーレポート

みなさんこんにちは!塾エイド事務局です。
今回は塾エイド2月ミニセミナー「インボイス制度に向けて備えるべきこと」をレポートいたします。
登壇者は、清水会計事務所兼、「塾エイド」バックオフィス担当の根本陽です。
インボイス制度に向けて、学習塾が現時点で備えるべきポイントを、それぞれの学習塾の状況別にご紹介いたします。
目次
1.インボイス制度とは?
まずは令和5年10月から始まるインボイス制度とは何なのか、インボイス制度がなぜ始まるのかについて説明します。
インボイス制度で変わること
インボイス制度で変わることインボイスとは、日本語に訳すと「適格請求書」であり国が認めた請求書という意味です。
今までの請求書は手書きであったりエクセルに記入したりなど形に関係なくある程度自由に作成することができていましたが、インボイス制度が導入された後は国が認めた形で請求書を発行する必要があります。
なぜインボイス制度が始まるのか
インボイス制度が始まる理由は大きく分けて二つあります。
①国が請求書を管理しやすくなる
②国が消費税を漏らさず徴収するため
ではここからは、インボイス制度によって消費税を漏らさず徴収できる理由について、詳しく説明していきます。
2.インボイス制度の消費税徴収への影響
消費税の計算方法について改めて説明します。
事業者は、消費税を納めている課税事業者と、納税をしなくてよい納税事業者の二つに分けられます。それぞれの消費税の計算方法を、例を挙げ説明していきます。
①課税事業者の場合
学習塾が顧客から月謝として4400円(4000円+10%の消費税)貰っているとして、教材費として仕入先に1100円(1000円+10%の消費税)支払っている場合、消費税の差額である300円を税務署に納税しなくてはいけません。

②免税事業者の場合
免税事業者は、先ほどの例と同様に300円の消費税が発生した場合それを税務署に納めないで自分の収入(益税)にすることができます。

現在はこの益税の部分で消費税の徴収ができておらず、もし仮にこの事業者が課税事業者であったら国に入ってきていた額が年間で約数千億もあります。この消費税を漏らさず徴収する為にできた制度がインボイス制度です。
(※免税事業者の対象は、課税売上高が1000万円以下の会社や個人)
3.インボイス制度導入後の学習塾への影響
インボイス制度は、課税事業者にはあまり変化のない制度ですが、免税事業者に対しては変化があり、益税を防ぐための制度になります。
インボイス制度導入後、請求書(適格請求書)は国が認めた形での使用に制限されますが、全員が適格請求書を使うことはできません。適格請求書を作ることができるのは課税事業者のみになります。
課税事業者の学習塾の場合
インボイス制度が導入されても元々使用していた請求書が適格請求書に変わるだけです。

一方、影響が大きいのは免税事業者です。
インボイス制度導入後は、適格請求書でないと消費税を請求することができませんが、免税事業者は適格請求書を作ることができないので、消費税を相手に請求することができなくなってしまいます。
免税事業者の学習塾の場合
例えば、免税事業者の学習塾が、今まで月謝として4400円(4000円+ 10%の消費税)貰っていたところ、インボイス制度導入後は適格請求書を発行することができないので4000円しか得ることができなくなります。
そのため単純に計算すると免税事業者の売上が10%減少してしまいます。

4.備えるべきポイント①課税事業者になるべきか
インボイス制度導入に伴い、自分の法人を課税事業主へ変更するべきか否か、以下の手順で考えてみましょう。
課税事業主になるべきかの判断手順
① 自分の法人が課税事業者なのか免税事業者なのかを知る
判定基準は2年前の売上が1000万円を超えているかどうかです。
②自分の法人が課税事業者の場合
適格請求書の発行してもらうために適格請求書発行事業者申請を提出する
注意点:「期限が令和5年の3月まで」
ポイントとしては顧問税理士に申請状況の確認をすることができます。
③自分の法人が免税事業者の場合
課税事業者になるか、免税事業者のままでいるか検討する必要があります。
課税事業者になれば適格請求書を発行することができますが、納税をしないといけませんし納税事業者のままの場合だと売上が下がってしまう可能性があります。
学習塾の場合、どちらが良いのかの検討材料としては、取引相手が一般消費者(ex.保護者)であるのか事業者(ex.本部)であるのかです。
免税事業主の学習塾のためのシュミレーション
〈相手が一般消費者の場合〉
顧客からあらかじめ10%増量した4400円(税抜き)を集めればよいので、免税事業者のままで問題ありません。顧客からしてもインボイス制度が始まる前に払っていた4400円(4000円+消費税)と違いがないので問題ないでしょう。

〈売上先が本部である場合(売上増量を許容)〉
先ほどの一般消費者と同様に、本部が売上額を10%増量することを認めてくれた場合は免税事業者のままで問題ありません。

〈売上先が本部である場合(売上増量を認めてくれない)〉
一方で、本部である事業者の立場で考えてみると、一つの懸念点が浮かびあがります。
①学習塾(課税事業者)と付き合う場合
本部(課税事業者)は、顧客から6600円(6000円+消費税)を受け取り、学習塾(課税事業者)に4400円(4000円+消費税)支払うとき、差額の200円を消費税として収めることになります。
②学習塾(免税事業者)と付き合う場合
本部(課税事業者)は、顧客から6600円(6000円+消費税)を受け取り、学習塾(免税事業者)に4000円(税抜き)を支払うとき、差額の600円を消費税として収める必要があります。

この二つの例を比べてわかるように、免税事業者の学習塾と付き合う場合の方が消費税を多く納めなければなりません。課税事業者と付き合う方が良いと判断する本部が出てくることが考えられます。
上記のような理由から、本部が売上額を10%増量することを認めてくれないケースが多く出てくる可能性があります。
そのような場合は、課税事業者になる方が利益を得られる可能性が高いです。
例:課税事業者になった場合
本部(事業者)から受け取った消費税400円から、仕入れ先に支払う消費税100円の差額である300円を消費税として納めることになります。
これは、免税事業者のままで本部が売上額を10%増量することを認めてくれなかった場合に、売上の10%である400円を失うより、損失が少なくなります。消費税分の額を全て失うなら、一部を国に収める課税事業者の方が良いということです。

ただし、実際に仕入先に払っている額によって、課税事業者になった方が良いのかどうかが変わることもあります。
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5.備えるべきポイント②業務委託中の講師とのやりとり
さらに、業務委託の塾講師(免税事業者)とのやりとりについても考えてみましょう。
塾講師と時給2200円(2000円+ 10%の消費税)の契約をしていた場合は、以下の3パターンが考えられます。
- 塾側が10%の消費税を引いた額を塾講師に渡す→塾講師が200円損する
- 塾側が10%の消費税を含めた額を塾講師に渡す→塾側が200円損をする
- 塾講師が課税授業者になる→塾講師が少し損をする

では、なぜ③の場合、塾講師側が少し損をするのでしょうか?
ここでポイントになるのが、インボイス制度の特例措置です。
インボイス制度の特例措置とは
免税事業者がインボイス制度により課税事業者になる場合、3年間は受け取った消費税のうち20%をのみ納めれば良いという制度。
つまり③の場合、消費税として受け取った200円のうち20%である40円だけを納めればよいので、塾講師は40円だけ損をしたという計算になります。

6.備えるべきポイント③支払い先とのやりとり
自分の支払い先が免税事業者なのか確認することも重要です。
支払い先が免税事業者であるにも関わらず、気づかずに消費税込みの額を支払ってしまわないよう、気をつけましょう。

そのため今のうちから、支払い先の会社が課税なのか免税なのかを確認しておきましょう。
〈相手の会社の課税なのかを調べる方法〉
- 「国税庁インボイス制度適格請求書事業者公表サイト」から適格請求書発行事業者かどうかを調べることができる
- 支払い先が多い場合は、手紙やメールで取引先の状況を確認する(適格請求書発行事業者には13桁の番号が国から与えられるので相手に番号を聞く)
〈相手の事業者が免税の場合の対応パターン〉
- 請求通りに支払う(消費税分は損に!)
- 減額を請求(消費税は支払わない)
- 関係を切る(他の課税事業者の仕入れ先を探す)
相手の会社との関係をよく考えてから早めに判断するようにしましょう。
7.まとめ
いかがでしたでしょうか。
まずは自塾が課税事業主なのか免税事業主なのかを確認することから始め、制度導入に向け適切な対応をしていきましょう。
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2023/4/16更新


